「人」と「システム」を全体的にとらえた「人工知能」の技術を創出し,新たな価値や産業を作り出す。

人間システム工学科は、人間を中心とする新たな人工知能の技術を工学に持ち込む新しい学問領域です。「人にとってやさしいシステム、人が快適に過ごせる環境をどのようにして創るか」ということが基本コンセプトになります。そのために、人間のココロやカラダと、人工知能・モノ・社会とがどのように関わっているのか、その関係性・相互作用を理解し、人工知能の技術を駆使して,人を中心とした新しいシステムを創出できる人材を育成しています。これまでにない新しい学問領域ですから、自由な発想で、多彩な研究テーマにさまざまなアプローチで取り組んでいってほしいと願っています。

2つのコースと3つの領域から、人とシステムの関係にアプローチ。

本学科は、人工知能をベースとして、映像・音響などのメディア技術を扱う「映像音響システムコース」と、ロボット技術やInternet of Thing(IoT)社会を体現するシステム開発などを扱う「サイバーロボティクスコース」の2コースを設けています。 どちらのコースにも通じるのが、「人工知能」と「デザイン科学」・「インタラクション科学」の3領域です。「人工知能」は、機械学習をその核として、自動運転技術やコンテンツの自動作成など、現在もっともホットな研究分野です。また、「デザイン科学」には、カタチに見えるデザインだけでなく、コミュニケーションのデザインも含まれます。これを追究するためには、人と人、人とシステムの関係性・相互作用を扱う「インタラクション科学」が必要です。 これらの3領域を横断的に学び、各コースの専門知識・技術を身につけることで、人間とシステムへの理解を深めていきます。

1年次から4年次まで、演習を重視した実践的なカリキュラム。

カリキュラムの特徴は、1年次から4年次まで、演習を重視した実践的な構成になっていることです。1・2年次では、コンピュータのハードウェア、ソフトウェア、情報科学などの基礎科目を幅広く学習するとともに、プログラミング技術、数学などを演習形式の授業で身につけます。3年次からは、演習や実習を通してメディア情報処理やロボット工学、知的情報処理などの専門的な技術・知識を習得。4年次には、研究室に配属されて卒業研究に取り組み、実践的な問題解決能力やプレゼンテーション能力を身につけます。 また、もう一つの特徴は、関学理工学部ならではの「理系のためにデザインした英語教育システム」です。科学技術英語など、世界で活躍する科学者・技術者に欠かせない英語運用能力を身につけられます。

“関西学院の感性研究”をものづくりに活かす研究が「革新的イノベーション創出プログラム」に採択

「人」と「システム」の新しい関係の創造を目指している人間システム工学科では、人の感性に着目した研究も行っています。その一つが“感性価値のものさし”づくりです。これまで曖昧な概念だと思われていた「楽しい・美しい・心地いい」といった感じ方を科学的にとらえ、指標化することを目指しています。 その研究を活かして個人による感性にあったものづくりを支援できる仕組みを作ろうというプロジェクトが、「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」に採択された「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」です。従来の万人向けに大量生産されたものを受け入れるだけの“受動的消費者”から脱却し、心からほしいものを、ほしいときに、ほしいだけつくり、満ち足りた生活を送ることができる“創造的生活者”を生み出し、社会を変革しようという意欲的な取り組みです。

新しいリハビリテーション技術を創生する私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「歩行における脳活動と筋活動の相関に基づく新しい健康維持促進とリハビリテーション技術の創生」(2019年3月終了)

高齢者の自立した生活に不可欠な基本的な動作の一つが、“歩行”です。しかし、脳卒中の後遺症などのためにリハビリテーションが必要な方も数多くいるのが現実です。後遺症を残さないためには、できる限り早い段階で継続的にリハビリを行う必要がありますが、そもそも従来の運動訓練としてのリハビリテーションで良いのでしょうか。「脳の活動や筋活動、人とリハビリ機械とのインタラクション、意志も影響するのでは?」そうした疑問を解決すべく、学内に「バイオ・ロボティクス研究センター」を発足。センターを母体として学内外の研究者によるプロジェクト「歩行における脳活動と筋活動の相関に基づく新しい健康維持促進とリハビリテーション技術の創生」を進めています。 “歩行”をテーマに脳活動と筋活動の新たな相関を見出し、得られた知見を基に健康の維持・増進や自立支援のための新たなリハビリテーションの手法や機器と新しい評価方法も併せて開発することを目指しています。