授業科目名 知的財産戦略論
履修期 春 2単位 履修基準年度 3年
授業目的
本講義の目的は,企業人や研究者にとって,今後の開発・研究・経済活動においてますます重要性を増している知的財産制度の全般的理解に加え,産業財産権制度の法域ごとの相違,我が国制度と他国制度との相違,知的財産制度の現状と将来像を理解することである.
到達目標
・知的財産制度全体の体系的理解ができる.
・産業財産権制度の各法域の相違についての理解ができる.
・研究活動における知的財産の重要性,技術の蓄積及び進展に貢献していることが理解できる.
授業計画
第1回(1)知的財産制度概要
知的財産制度の基礎を理解する.知的財産とは何か,知的財産と物権との違い,知的財産基本法と関連法について理解する.知的財産をめぐる事例も紹介する.
第2回(2)特許法
特許法の基礎を理解する.保護対象,発明の定義,特許法の目的,特許要件(新規性,進歩性,産業上利用可能性),先願主義などについて理解する.
第3回(3)特許法
特許出願明細書,請求の範囲など,出願手続に関すること,特許文献の見方など実務的内容について理解する.
第4回(4)特許法
特許権の調整,活用,移転などについて理解する.請求項の記載や把握における留意点など,権利範囲の捉え方についても説明する.
第5回(5)特許法
異議申立,審判請求,審決取消訴訟や侵害訴訟など特許を巡る争いについて概説する.付随して,特許調査や鑑定についても触れる.
第6回(6)実用新案法
実用新案法の基礎を理解する.主として特許法との相違点を中心として,保護対象,無審査登録制度などについて説明する.
第7回(7)実用新案法
実用新案法に特有の制度,例えば,権利行使の際の留意点(技術評価書)や特許出願への変更などについて説明する.
第8回(8)意匠法
意匠法の基礎を理解する.主として特許法との相違点を中心として,法目的,保護対象,存続期間などについて説明する.
第9回(9)意匠法
意匠法に特有の制度(部分意匠,関連意匠,組物の意匠など)について説明する.意匠における類似の概念や権利範囲の調整について説明する.
第10回(10)商標法
商標法の基礎を理解する.保護対象,登録要件,権利の調整,更新制度などを理解する.
第11回(11)商標法
防護標章制度,地域団体商標,国際的な商標保護の取組などについて理解する.商標侵害事例も紹介する.
第12回(12)著作権法
著作権法の基礎を理解する.著作物性,著作権の種類,著作権をめぐる事例についても説明する.
第13回(13)不正競争防止法
不正競争防止法の基礎を理解する.不正競争行為についてや新たな保護対象(データ)についても説明する.
第14回(14)その他(その他の知的財産制度,知的財産を取り巻く環境など)
種苗法,品種登録制度,タイムスタンプなどの紹介,現在の日本の知財環境などについて説明する.また,パリ条約,特許協力(PCT)条約などの知的財産関連条約,諸外国の知的財産制度についても簡単に触れる.