視覚や聴覚はもちろん、足で踏んだ感覚も再現できるバーチャルリアリティ技術。

知的活動を活性化・支援するバーチャルリアリティ。バーチャルリアリティ(Virtual Reality:VR)とは、実際には目の前に存在しないモノやコトを、工学的な技術を用いて人間の五感を刺激することによって、実質的に再現する技術を指します。井村研究室では、VR技術を基盤として、コンピュータをはじめとする人工物を使う側である“人間の特性”に着目したインタフェイスを構築。それによって、人類の知的活動を活性化し、支援するような研究を幅広く行っています。

■私たちは、こんな研究をしています。

高田 大樹

「あ、本当に石畳の道を歩いているみたい」そんなバーチャルリアリティを実現を目指して。

旅先で石畳の道を歩いたとき、山で湿った土を踏みしめたとき、足裏で感じる「踏みつけ感覚」は、それぞれ異なるでしょう。その街や山での体験を追体験したり、友だちと共有したりできるように、さまざまな場所の踏みつけ感覚を提示できるシステムの構築を目指しています。写真やビデオで視覚や聴覚を刺激するだけでなく、足底部で感じる空気圧を変化させて触覚を刺激することで、より再現性の高いVRを実現できるのではないかと考えています。

バーチャル世界と実世界が融合したより豊かで楽しい世界を目指して。

井村研では、バーチャル世界と実世界との間の垣根を多様な分野の技術の力で取り払い、私たちの生活をより豊かで楽しいものにすることを目指しています。まず実世界の人間や環境を計測して人間の状態や感情を推測し、次にVR世界で起こることをシミュレート。そして最後に、VR世界の状態を「五感ディスプレイ」を通して提示します。究極的には、ミクロからマクロの法則を階層的に関連付け、世界全体のシミュレーションを実現することが目標です。

360°どこから見ても立体的な映像が何もない空間に浮かび上がる。

テレビなどのディスプレイがない空間に、ウサギの映像が浮かび上がる。しかも、その周りを歩いてみると立体感が得られ、あたかもそこにウサギがいるかのように感じられる。そんな不思議な体験を可能にするのが、井村研が研究開発しているフォグディスプレイです。その名の通り霧をディスプレイとして複数の方向から映像を映し出しており、見る人が動くと視線方向と合致する方向からの映像だけが目に入るので、運動視差によって立体感を得られます。

現実世界で感じたことを時空を超えて人に伝えられる。

VR 技術は、医療や防災、通信などさまざまな分野での応用が期待されています。たとえば、手術前に医師が患者の手術のリハーサルをバーチャルに行えたり、遠隔地にいる人と臨場感をともなった会話ができるだけでなく、人の気配や雰囲気まで感じられたり。旅行に行けない人でも、あたかもその街へ行ったかのように、ものを見て聞いて、歩く感じを体験できる。このように現実世界の感覚を、時空を超えて人に伝えることもできるのです。

研究のkeywords

バーチャル

見かけや形は現物と異なるが、機能としての本質は現物と同等であること。たとえばSUICAやICOCAは、切符とは形状が全く異なりますが、電車に乗れるという機能は同等なため、バーチャル切符ととらえることができる。

五感ディスプレイ

一般的にディスプレイと言うと映像が表示されるものを指すが、五感ディスプレイは、視覚だけでなく、聴覚や力触覚、嗅覚、さらには味覚に至るまで人間のさまざまな感覚を刺激する装置の総称として使われる。