精神や思考って何なの? そもそも人間とは? 私たちの脳の謎に迫る。

小さな脳を創ることで知能の仕組みを探求する。工藤研究室のテーマは、意識をはじめとする脳機能の謎を明らかにすること。神経細胞を培養して創った小さな脳にロボットの体を与え、生物の簡単なモデルにします。また、このテーマは脳から情報を読み取って電子機器を制御するといった研究も含んでいます。一つの研究室の中で細胞レベルと、ヒト/脳レベルの研究をあわせて考え、細胞からヒト全体までひと続きで理解できることをめざします。

■私たちは、こんな研究をしています。

箕嶋 渉

生きた大脳の神経細胞を培養してつくった半人工的なネットワークで、脳の秘密に迫る。

生きた大脳の神経細胞でつくった半人工的なネットワークに、何らかの「知性」が備わっているのではないか。その疑問の解決に挑むのが工藤研究室です。その中で私は、ラットの大脳海馬神経細胞を培養して作成した半人工的な神経ネットワークについて、外部のブドウ糖量を変更して神経活動を計測し、神経電気活動とエネルギー量・エネルギー代謝の関係性を解析しています。生物学と情報科学を駆使して新しい知見を発見できることは大きな醍醐味です。

生きている神経細胞を培養して 小さな脳を創り、その機能を探る。

私たちの精神や思考がどのようにできているのかを探究することは、「我々は何者か?」と問い続けることです。その答えを探すために生物学、物理学、工学、哲学など、様々な知を総動員して研究し、自己という存在を哲学的に考えます。
その切り口は大きく3つあります。まず神経物理科学グループでは、脳の部品である神経細胞を培養して生きている小さな脳を創り、神経回路網の機能解明に取り組んでいます。

ロボティクスと生体が融合した ニューロ・ロボティクス研究。

次にニューロ・ロボティクス研究では、培養した神経細胞にロボットの体を与え、生物の簡単なモデルにしています。そのモデルを用いて、神経信号とロボットの制御信号をどのように関連づけるとうまく動作するか、また、神経回路網にどのような変化が生じるかを実験・解析していくことで、新しい生物型の知的情報処理技術や再生医療に役立つ神経接続技術が生み出されます。

脳波を測定して 脳情報処理を読み取る

3つ目の切り口は、認知科学的なアプローチで、脳から情報を読みとって電子機器を制御するブレイン-コンピュータ・インターフェイス(BCI)の研究も含んでいます。
精神とは?意識とは?という哲学的な追求のなかで、「脳が環境とインタラクションしたときに何が起こるのか?」「脳にとっての適切な環境とは何か?」といった広く人類に役立つ“知”、そして、人類の生活を豊かにする“技術”が生み出されていきます。

研究のkeywords

ニューロ・ロボット

生きた神経細胞を培養して神経回路網を作り、ロボットの身体を与えた疑似個体モデル。サイボーグ技術の検証や生物型知能情報処理技術の開発に役立つ。

ブレイン-コンピュータ・インターフェイス(BCI)

脳波計測やfNIRS(機能的近赤外線分光法)などを用いて脳の活動を計測し、信号処理した結果を基にして電子機器を制御する技術、また、その技術によって作られた制御装置。