授業科目名 近代日本とアジア
履修期 春 2単位 履修基準年度 1年
授業目的 / Course Objectives
日本はアジアに位置しているが、アジア諸国に対する理解度は高いとはいえない。この講義では主に東南アジア地域に焦点をあて、この地域の歴史、文化、経済、社会、や自然などに関する理解を深めることにする。またこれまでの日本と東南アジア諸国との交流のあり方を検討し、パートナーとしてこの地域との望ましい国際協力や交流のあり方を受講生とともに模索してみたい。
到達目標 / Attainment Objectives
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授業時間外の学習 (準備学習等について) / Study Required Outside of Class (Preparation etc.)
授業中での発表に関しては、できるだけ関連資料を集め、簡潔に発表してください。東南アジアを理解するために、日本にいても東南アジアの食事、音楽、絵、踊り、言葉、映画、小説などをぜひ味わったり、楽しんだりしていただきたい。
授業計画 / Class Overall Plan
第1回 講義概要と東南アジアの概況:まず本講義の概要について説明する。東南アジアの特徴的なところについて述べる。東南アジアの世界遺産や、i観光や食事などについても触れる。東南アジアの文化が少しずつではあるが、日本に浸透してきていることについても言及する。
第2回 異文化理解と反省の歴史:東南アジアは日本人にとってもまた欧州人にとっても、異文化の世界であり、歴史的には交流の過程でいろいろな問題が発生した。日本にとって太平洋戦争の主戦場であり、東南アジア諸国ばかりでなく、連合国にも日本に対して負の遺産となっている。そういった歴史を「戦場にかける橋」のビデオを用いて考えてみたい。また東南アジアも19世紀には欧州との交流に腐心した歴史がある。「王様と私」のビデオを参考に、異文化理解を考える。
第3回 東南アジア諸国の概要:国土、人口、経済、宗教などの面から東南アジアを検討する。またアジア地域での地域統合の核としてのASEANについて説明する。
第4回 東南アジアの自然と人間(1):東南アジアの自然は非常に多様であり、その自然を利用してのいろいろな生産活動について述べる。大陸部と島嶼部の2つに分けて説明する。ビデオを用いることにより、東南アジアの自然に関する理解を深める。
第5回 東南アジアの農業開発と工業開発:東南アジアの農業分野での変化をもたらした「緑の革命」の影響や、工業化戦略について述べる。
第6回 東南アジアの宗教と宇宙観:東南アジアで現在でも大きな影響力を与えているアニミズムとインド文化の影響について説明する。ヒンドゥー教について、ビデオを参考にしながら考えてみる。特に須弥山思想の持つ意味について説明する。またヒンドゥー教や仏教関係の偉大な遺跡に関するビデオを観ることにより、インド文化の東南アジアへの伝播についての理解を深める
第7回 イスラム教の影響:東南アジアではイスラム教が最大の勢力である。ビデオを参考にして、イスラムについて考える。また東南アジアのムスレムが引き起こしている政治紛争についても言及する。「多様性の中の統一」は可能なのか、複合国家について考えたい。
第8回 タイと日本の社会構造の比較:エンブリーの説を参考に戦前の日本人と、タイのデルタの人々の価値観を比較してみる。20世紀のデルタ開発は自然と人間のありかたをどう変えたのかについて検討する。受講生による発表のテーマに関して説明する。
第9回 東南アジアの4カ国(タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム)をとりあげ、各国の経済、社会、政治分野での特徴について説明する。
第10回 東南アジアと日本の歴史的関係を3期に分けて説明する。(1)16世紀末から17世紀初期にかけて東南アジアとの交流が盛んになり南洋日本人町も形成された。(II)明治期に入り東南アジアとの交流が再び盛んになり、サービス業や貿易などから、次第にプランテーションや鉱山への投資も行われるようになった。(III)第二次大戦後、1960年前後から日本の進出が活発になり、特に80年代後半からは日本の直接投資などにより日本と東南アジアとの交流は非常に緊密なものとなった。
第11回 東南アジアに関して、受講生が1つのテーマを選び、OHCを用いて受講生に発表していただく。(各自、3分以内)。発表のテーマは自然・歴史・経済・社会・文化・食事・観光等、どのような分野でも良いが、特定のテーマについて詳しく調査した結果の発表が望ましい。
第12回 受講生による発表の続き。
第13回 授業中テストを実施する。試験後、東南アジアと日本との今後の交流について述べる。
第14回 ギアーツによる東南アジアの「文化解釈学」:ギアーツの農業のインヴォルーション論や劇場国家論を紹介する。またバリ島の文化についてビデオにより理解を深める。
教科書 / Textbook(s)
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参考文献 References Books
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授業方法 / Method of Instruction
講義中心にすすめるが、ビデオ教材を多く用いる。受講生にレジュメのコピーを毎回、授業後に配布する。参加型授業にするため、2回の授業時間中に全受講生には必ず各自の選んだ東南アジアに関するテーマで1分以内でOHCを用いて発表していただくことにする。授業中、受講態度の悪い学生は注意する。授業中の私語は厳禁。授業中の飲食や、遅刻や早退は原則として認めない。
学生による授業評価の方法 / Course Evaluation by Students
独自のフォーマットで学期末に行う。
成績評価 / Evaluation Criteria/Method
1回のレポート(20%)、授業中試験(持込み一切不可, 60%)、および授業中の発表(20%)などの結果を総合的に判断して評価する。授業中試験の結果を重視する。授業中試験は定期試験の規則に準じて行うので、もし授業中試験を受験できなかった場合はその理由書を理工事務室に提出し、試験に代わるレポートを提出してください。他人とほとんど同じレポートを提出した場合は双方のレポートの評価点はゼロとする。内容が極めて不十分なレポートは不可とし、その旨、授業中に通知する。
備考 / Note
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検索キーワード / Keywords
東南アジア/ASEAN/複合国家/デルタ開発/モンスーン