授業科目名 コンピュータ・アート
履修期 春 2単位 履修基準年度 3年
授業目的 / Course Objectives
コンピュータは現在、誰でも容易に利用し、常に情報を発信するツールとなっている。なかでも様々な作品(CGや映像、音楽等)を容易に制作、発表ができる点は非常に評価すべき社会であるが、コンピュータによる作品が、あまりに膨大な数で発表されることにより、アートの捉え方が希薄になってきたことも否めない。
このような現状において、本講義では「20世紀以降の現代芸術の新たな変遷」という視点でコンピュータによるアート表現を見つめ直す。それにより、芸術と技術の融合とそこから生まれる新たな表現、知覚の可能性について学習する。
到達目標 / Attainment Objectives
(1) コンピュータを用いた表現の変遷について、コンピュータアート史に残る名作と共に、最新のメディアアートの現状を学習する。
(2)アート表現に必要なイメージの創出方法とそれを具現化するビジュアル表現を学習し、「表現する側」について実習しながら考察する。
授業時間外の学習 (準備学習等について) / Study Required Outside of Class (Preparation etc.)
日々の生活に存在する身近なモノから、アートやデザインという事について意識する。 話題になっている映像やパフォーマンス、メディアを用いた新しい表現について、そのしくみや背景をウェブサイトや雑誌等で情報収集する。新しい技術と表現について関心を持つこと。
授業計画 / Class Overall Plan
I「表現する」ことの歴史 : アート表現とテクノロジー
第1回 オリエンテーション
第2回 20世紀現代芸術を観る
 現代芸術は20世紀に入り、キュビズムや未来派など「抽象」に着目した様々な芸術運動が、各地で誕生した。また、抽象表現とコンピュータ画像の相性の良さから、絵の具と同様、コンピュータで絵を描く表現が60年代以降に注目される。

第3ー7回 コンピュータアートからメディアアートへ
 1970年代以降、コンピュータグラフィックスアニメーションは人々に驚きを与え、90年に向けて最盛期を迎える。同じく、コンピュータは音楽との関わりも深く、新たな作曲法や演奏法を創出した。
 90年代より、コンピュータを制御装置として捉え、人間の知覚に変化をもたらすようなインタラクティブな表現が主流となる。
 特に近年のメディアアートは電子技術以外にも生物学系(脳波や遺伝子情報、昆虫の動きや植物の成長)など、様々な情報データを取り入れ、アートの領域を拡張する表現が発表されている。
このような現状の把握と、多様化したアートの本質はどこにあるのかについて再考したい。

この項では、映像資料の鑑賞を主に行う。
 コンピュータグラフィックスアニメーションの歴史的名作より
 メディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ」現地取材映像など
--

II イメージを表現する
第8回 イメージを表現する方法
「イメージする」ということ、そのプロセスについて。芸術分野から、共通感覚と共感覚について学習する。

第9ー14回 グラフィック作品を作る
イメージを表現する題材として、普段耳で聴いて楽しんでいる音楽を、ビジュアルで表現することを試みる。ここでは、既存の音楽を1曲選択し、それを如何に視覚的に表現するか、イメージの創出方法を学び、自らのイメージを具現化する手法を実習によって学習する。

実習について
 写真の画像処理を主としたイメージ制作、技法はフォトコラージュ
 ソフトウェアはAdobe PhotoshopとAdobe Illustratorを使用する
教科書 / Textbook(s)
適宜資料を配布します。
「実習」はAdobeのPhotoshop、Illustratorを使用するので、オペレーションマニュアル等があれば持参してください。
参考文献 References Books
坂根厳夫『メディア アート創世記ー科学と芸術の出会い』工作舎2010 / 白井雅人 他『メディアアートの教科書』フィルムアート社2008 / 伊奈 新祐 他『メディアアートの世界―実験映像1960‐2007』国書刊行会2008 / 中村滋延『現代音楽×メディアアート―音響と映像のシンセシス』九州大学出版会 008/The NETWORK FOR ART TECHNOLOGY AND SOCIETY ARS ELECTRONICA 1979-2009
授業方法 / Method of Instruction
前半の講義:視覚資料(映像や画像)の提示を主とした講義
後半の講義:PCを利用した実習形式
学生による授業評価の方法 / Course Evaluation by Students
ネット利用(所定のフォーマット)
成績評価 / Evaluation Criteria/Method
授業時に指示するリポート及び、課題制作物。
備考 / Note
-
検索キーワード / Keywords
コンピュータグラフィクス/インタラクティブアート/メディアアート/デザイン/コミュニケーション/映像と音楽の関係/視覚と聴覚の関係/ビジュアルミュージック/現代芸術/イメージの具現化