演奏している姿がより自然に見えるように、感性豊かに表現する。
長田研究室で取り組んでいるのは、感性情報を利用した、より良いメディア表現の研究です。主観的な情報である感性情報を理解・表現するコンピュータをめざして、CG・色彩・音楽・マルチメディア・心理・脳など多方面からアプローチしています。新規性と有用性の両方を兼ね備えた研究に取り組み、身近な日常生活を豊かにし、少しでもいいから実際に社会の役に立つ成果を出すということをモットーにしています。
私たちはこんな研究をしています!
個人が「ほしいものをつくれる」システムを「感性価値のものさし」で実現したい。
3Dプリンタなどを使って、個人的なものづくりができる環境が整いつつありますが、ものづくりの経験がない人は、どうすれば「ほしいもの」ができるのか分かりません。そこで「ほしいものをつくれる」システムの実現に向けて、「感性価値のものさし」をつくる研究に取り組んでいます。将来的には「どっしり・上品・ざらっと」といった感覚的なキーワードから、自分の手にしっくりくる文房具が簡単にデザインできるようなシステムを目指しています。
“本物よりリアル”な “感性的リアリティ”を追求する。
長田研は、情報科学科の巳波研とともに、アニメ「のだめカンタービレ フィナーレ」や「巴里編」のピアノ演奏シーンの制作に参加しました。まず、プロのピアニストの演奏動作を精密に計測しますが、そのままアニメにすると日本人は違和感を覚えます。そこで、コマを落として粗い動作に変換したり多少ノイズを加えたりすると、意外とリアリティが増すのです。このような“感性的リアリティ”を追求するのが、私たちの目標です。
カーテンなどの質感を リアルに表現する技術を開発。
現在、CGをリアルな質感に近づけるのは手作業であり、大変な手間と時間がかかってしまいます。そこで私たちは、シルクなどの布素材や肌の質感について研究し、少ないデータでリアルタイムに描画する方法を開発しました。この技術を使えば、ネット上の仮想空間やゲーム・エンタテインメントコンテンツの質感を飛躍的に向上させたり、ネットショッピングのアニメーションカタログや教育分野の教材などに応用することができます。
感性の研究は、豊かな社会をつくり 人間、自分への理解を深める。
私たちがめざしているのは、日々の生活を楽しく豊かにすること。そうすれば、子どもたちや高齢者、生活弱者や情報弱者が暮らしやすい社会になり、多様な価値観を認め合い、人が人間らしく生きられる社会ができるのではないでしょうか。また「人間を知る=自分を知る」こと。私たちと一緒に、理学・工学だけでなく、心理学や脳科学、社会学、芸術学などさまざまな切り口から人間らしさ、自分らしさへの理解を深めてみませんか?
研究のキーワード
「感覚と感覚が混線する」心理的な知覚。例えば、ヘ長調の音楽を聴くと緑が見えたり、A(エイ)という音を聴くと赤が見えるといった現象が知られている。長田教授も共感覚がある。
直観・イメージ・感性といった主観的な情報のこと。主観的で、あいまいで、状況依存性があり、多義性があり、因果律が希薄である。人とコンピュータのよりよいインタフェースを実現するために利用する。