散歩の心地よさや 感情の揺らぎを 傘の振動で伝える?!

ヒューマン・コンピュータ・インタラクション。岸野研究室では、“人間中心”の認知的ユーザインタフェースについて研究しています。知的活動を含む人間の行動を知覚・認識・理解して、使い勝手に優れ、人に優しいインタフェースの実現をめざしており、マルチメディアを駆使して人間の五感に反応するインタフェース技術の研究を進めます。対象とする情報環境は、ユビキタス環境やその先のアンビエント情報環境、さらには超臨場感コミュニケーションも想定しています。

■私たちは、こんな研究をしています。

藤井 佑一

あらゆる情報を振動で伝えたら…… “あそぶ”+“Umbrella”で「アソブレラ」

岸野研は、楽しみながら興味のある分野の研究に打ち込める環境です。私は、あらゆる情報を振動で伝えることをめざして研究しています。傘型の振動デバイス「アソブレラ」を用いて、人がどこで雨の強さを感じているのかを追究するとともに、雨の強弱と印象の関係性や、人が快適に感じる振動や危機感を感じる振動などを調査しています。将来的には、研究で解明したことを盛り込んだアプリケーションを作りたいと思っています。

情報技術が周辺環境に溶け込んだ 究極のユビキタス、アンビエント情報環境。

ユビキタスとは、いつでも、どこでも、誰でも、ネットワークに接続できる環境のことですが、インターネットの情報検索などは適切にアクセスし、適切なキーワードを入れなければ、有用な情報を得られません。そこで岸野研では、人が身につけたモノやシステム、周辺環境に埋め込まれたセンサーなどが「いま、この人がどういう状況に置かれているか」を感知し、総合的に判断した上で適当な支援をする「アンビエント情報環境」の構築をめざしています。

傘の振動パターンを通して、 人間の感性や感情を伝えられるのか。

傘型の振動デバイス「アソブレラ」の研究では、情報を可振化し、多様な情報を振動で伝えられるようにしたいと考えてます。例えば花粉の多い日には警報的な振動パターンになり、久々の外出時には思わず散歩したくなるような楽しげな振動パターンになるなど、各種警報や喜怒哀楽を表現できたら面白いですよね。今はまだ研究を始めたばかりですが、振動を通じて、どこまで感性や感情を伝えることができるのか、挑戦していきたいと考えています。

集中度合いを客観的に把握し、 その人にとって適当な支援をする。

もう一つの研究では、学習時の集中度の測定に取り組んでいます。実験で脳の集中/リラックス状態と着座姿勢との関係性を調べたところ、集中しているときには姿勢の揺れが少ないことがわかりました。この研究を応用すれば、イスにセンサーを組み込み、子どもたちの集中が切れたら気分転換のお茶を出し、場を活性化するといったこともできます。また、右の動画の「FuSA2 Touch Display」のような情報の可触化に関する研究もできます。

研究のkeywords

アンビエント情報環境

ユビキタス社会が成熟した、次の世代にくる社会のあり方のこと。アンビエントとは、英語のambient(周囲の、環境の、あたり一面にある)であり、より適切な状態に、自然に移行し、調和するような空間を指す。

超臨場感コミュニケーション

遠隔地にいる人が、その場にいるかのように事物を体感できるようにする、もしくは遠く離れた場所にある事物をあたかもその場にあるかのように体感できるようにするためのコミュニケーション技術の総称。